伝統メニュー

明治から昭和までの文士や文化人たちをとりこにし、うならせてきた資生堂パーラー伝統の味は脈々と歴代シェフたちに受け継がれています。今なお磨かれ続けているおいしさの秘密をご紹介していきます。

コンソメスープ Consommé Soup

コンソメスープ

時間の芸術ともいえる黄金色のスープ。ひと口含んだ瞬間に五臓六腑に染み渡る滋味深い味わいに幸せの笑みがこぼれます。
材料は牛すね肉、鶏ガラ、香味野菜。浮いてくるアクを残さず取り除きながら、火にかけること十時間。肉と野菜の旨味をじっくり引き出し、黄金色に透きとおるコンソメをつくるには、手間と時間を惜しまないことが大切です。また、コンソメは、ゼラチン質の性質で、冷やすとゼリーのように固まるため、冷製コンソメとしてもご提供しています。
そのままスープとしてメニューに載せるのはもちろんのこと、いろいろなスープやソースに加えたりと、さまざまな料理を引き立てる基本のコンソメは資生堂パーラー伝統の味を受け継ぐ大切な命の雫ともいえるスープです。

コンソメスープ
冷静コンソメ

ビーフカレーライス Beef Curry Rice

ビーフカレーライス

資生堂パーラーのレストラン開業時から伝わるビーフカレーライス。

ラードで揚げた薬味

おいしくつくるコツは、かけるべき時間をきちんとかけることと、ひとつひとつの工程を大切に守ること。素材が豊富になり、調理法が進化した今でも、その考えは揺るぎません。
まずは、ラードでたまねぎ、にんにく、しょうがをゆっくり揚げて、芳ばしい香りが立ってきたら、特製のカレー粉を合わせて炒め、火をいれることおよそ一時間。深みのある鳶(とび)色がついたら一晩寝かせます。

次の日、鶏ガラ、香味野菜、ブイヨンを加えてじっくり煮込み、丁寧に濾したソースはさらに一晩寝かせます。まろやかでコクがあるカレーソースの完成まで三日間。資生堂パーラーのカレーの特長であるルーを焦がした絶妙な苦味は癖になる味わい。カレーソースは銀製のソースポットでご提供します。ライス料理には定番の付け合わせ、らっきょう、福神漬け、たまねぎの醤油漬け、みかんのシロップ漬けも楽しみのひとつです。

カレー粉
ビーフカレーセット

ミートクロケット Meat Croquette

ミートクロケット

資生堂パーラーを代表するミートクロケットは1931年(昭和6年)3代目総調理長の高石鍈之助(たかいしえいのすけ)によって考案され誕生しました。

3代目総調理長 高石鍈之助

高石が宮中の晩餐会で出されたフォアグラのクロケットに衝撃を受けたことがきっかけといわれています。簡単にいえば俵型のコロッケですが、資生堂パーラーではフランス風にクロケットといいます。とろりとなめらかな口当たりの秘訣は、つなぎのベシャメルソース。じゃがいもは使っていません。

3代目総調理長 高石鍈之助

油でサッと揚げ、美味しそうな色がついたら、オーブンでじっくりと火を通すことで外はカリっと中はトロトロの絶妙な食感が生まれます。オーブンの中でクロケットの下から出てくるプツプツと小さな泡が、出来上がりのサイン。秘伝のトマトソースと素揚げしたパセリを添えます。手間暇を惜しまずに、考案した高石のレシピを忠実に守り続けてきたからこその味わいには、資生堂パーラー創業以来受け継がれてきたおもてなしの精神が宿っています。

揚げているミートクロケット
オーブンで焼いているミートクロケット

ビーフシチュー Beef Stew

ビーフシチュー

和牛と野菜の旨味が溶け込んだ濃厚ソースがおいしさの秘訣。伝統のビーフシチューは和牛の三枚肉の丁寧な下処理から始まります。
余分な脂身をそぎ落とした牛肉は香味野菜、ベーコンとともに赤ワインに一晩漬け込みます。表面に小麦粉をまぶし、焼き色をしっかりとつけて旨味をぎゅっと閉じ込め、伝統のデミグラスソース、トマトソースでやわらかくなるまでじっくりと煮込みます。牛肉が熱いうちにさらに余分な脂や筋を取り除きカットすることで濃厚な旨みを感じながらもあっさりとした味わいに。手間暇を惜しまずに心を込めて仕上げたビーフシチューは、熱々をお召しあがりいただくために、蓋つきの土鍋で小さな火にかけながら、お客さまの元へ運ばれます。
蓋を開けた瞬間に漂う湯気に絡みつく凝縮された香りを独り占めする醍醐味を味わってください。

ビーフシチュー
ビーフシチュー

チキンライス Chicken Rice

チキンライス

じっくりと炒めて煮詰め寝かせて仕上げる「たね」が、おいしさの違い。
ご家庭のチキンライスは、ごはんと具をケチャップで炒めることが多いはず。資生堂パーラーでは、まず具となる大山鶏のもも肉やみじん切りのたまねぎ、マッシュルームをじっくりと炒め、トマトペーストとケチャップを加えて煮つめて「たね」を仕上げます。さらに一晩寝かせることで、全体の味がしっかりとまとまり、トマトの酸味もまろやかになります。注文のたびにライスと炒め合わせ、最後にエダムチーズを加えてやさしいコクをだしながら全体をまとめあげ、アントレディッシュで提供します。
西洋料理式の高級感が漂いながらもどこか懐かしくホッとする味わいの伝統のチキンライスはぜひ召し上がっていただきたい逸品です。

炒めているチキンライス
チキンライス

オムライス Omelette Rice

オムライス

黄金色にまばゆく輝く、資生堂パーラーの料理人としての登竜門でもあるオムライス。「エッグス各種」。昭和初期のメニューに記されていたほど、卵料理のバリーションは豊かでした。
卵はとても繊細で扱いがとても難しく日々の鍛錬が必要とされます。中でも人気だったオムレットは卵の攪拌から火の通り加減の見極めが特に難しい卵料理。レストラン開業以来変わらないレシピでつくられるチキンライスとこのオムレットを組み合わせたオムライスはかつてお客さまの要望でつくる裏メニューだったものが、そのうち王道のグランドメニューに昇格。素揚げしたパセリを添えてトマトソースをかけるのが資生堂パーラー流。
誰もがほっこり笑顔になる幸せのオムライスはきめ細やかでつるんとプルプルの美しいお肌が自慢の逸品です。

チキンライスを卵で包んでいる様子
調理中のオムライス

マカロニグラタン Macaroni au Gratin

マカロニグラタン

マカロニグラタンはトマトソースを使うのが資生堂パーラー流です。
マカロニはかために茹でて、すぐにベーコンやたまねぎ、トマトの旨味が溶け込んだコンソメに浸し、寝かせます。こうすることでマカロニがほどよいやわらかさになり、ソースとのなじみが抜群に良くなります。やわらかくなったマカロニは海老をはじめとする海の幸、マッシュルームと合わせてフライパンで温めます。器に移して伝統のトマトソースをかけ、グリエールチーズをたっぷりふりかけたらオーブンへ。
最後の味つけは、芳ばしい香りと焼き色。さあ、熱いうちに召し上がれ。

マカロニグラタン
オーブンで焼いているマカロニグラタン

和牛ときのこの和風ピラフ Japanese Pilaf with Wagyu and Mushrooms

和牛ときのこの和風ピラフ

「和風ピラフ」だから醤油味。そんな想像をして召し上がると、驚かれる方々もいらっしゃるかもしれません。
和風のようであり、洋風のようでもあるその秘密は、味つけに使っているグレイビーソース。肉の風味と旨味が凝縮したこの濃厚なソースは、ローストビーフの香ばしい焼き汁をベースに三日間かけてじっくりと仕上げます。グレイビーソースをライスに合わせ仕上げたら、アントレディッシュへ。アクセントに日本のハーブである三つ葉をたっぷり添えて。
西洋料理をベースにした、資生堂パーラーならではの和風ピラフです。

和牛ときのこの和風ピラフ
和牛ときのこの和風ピラフ
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