明治から昭和までの文士や文化人たちをとりこにし、うならせてきた資生堂パーラーの伝統の味。歴代のシェフが長年に受け継ぎ、今なお磨かれているおいしさの秘密をひもときます。
とろりとなめらかな口当たりの秘訣は、つなぎのベシャメルソース。
食べたときにほどよい歯ごたえを感じていただくために、ハムとボイルした仔牛の肉を細かく賽の目状に切ります。衣をまとわせ、油でさっと揚げ、おいしそうな色がついたらオーブンへ。じっくりと火を通して、中はトロトロ、外はカリッと仕上げます。 西洋料理の基本に忠実に、手間ひまかけてつくるミートクロケット。材料やレシピに関して、西洋料理店ならではのおいしさを心がけているので、資生堂パーラーではコロッケのことをフランス流に「クロケット」なのです。その違いは、ナイフを入れた瞬間にきっと感じていただけるはずです。
3代目総料理長高石鍈之助